讃岐うどんやラーメン食べ歩きと、旅のブログ

讃岐うどんの食べ歩きが好きです。また国内・海外問わず旅が好きなので、ぼちぼち書いていこうと思います。

TRIO_50MHzオールモードトランシーバ「TS-600」センターメーター不安定

2021-04-17 20:00:00 | 無線・ラジオ・家電・パソコン
 TS-600は、あちこちメンテナンスしながら使っているのだが、「直った!」と思っても、新たな不具合が起きることもある。ある日、センターメーターがずれていることに気がついた。センター調整して、1週間後である。それで、再度調整したら次の日にはずれていた。それと、マーカーSWが効かないことがある。

 以前からクサイと目を付けていたバッファー用のFET(2SK19GR)だが、すでにディスコンになっており、手には入らない。互換品といわれている2SK192Aも流通在庫だけのようで、次第に手に入りづらくなっているようである。ネットで探し回り、鈴商というところで2SK192A(GR)見つけたので、通販で購入した。送料の方が高いのは致し方ない。

 故障したFETは、ここです。↓ 2SK19A(GR) バッファー用


 左が取り外した2SK19(GR)で、右が2SK192A(GR)です。(以下、2SとGRは省略) K192Aは、かなり小型になっています。TS-600のこの部分は配線がかたまっているので、小型のK192Aは指でつかみにくく、取り付けはかなり困難でした。こんな場合は、物理的に大きなK19の方が扱いやすいですね。

 
 当該FETは、RX-NBユニットに搭載されています。


 既存のケーブルをかき分けて作業をしていたら、心配した通りシールド線の心線を1本切ってしまいました。(切れた心線は、最後にはんだ付けで修復)K19とK192Aの足の順序(DGS)は同じです。なので、取り外したFETと同じ方向で取り付ければOKです。

 取り外したK19を、マルチファンクションテスターで調べてみました。このテスター、適当に足を挿すとトランジスタやダイオード、FETなど勝手に判断して測定してくれる優れものです。


 こちらは、新品のK192Aです。


・K19 IDSS=2.1mA Vgs=1.48V
・K192A IDSS=1.6mA Vgs=1.15V

 K19は、完全に破壊されているわけではなく、特性劣化があるようです。

 交換後、電源SWをONにしてセンターメーターを入れると、勢いよくメーターが振り切れました。すぐ横にあるVR1でセンターを調整するのですが、以前はほぼ右いっぱいでセンターになっていたVRが、中央より左寄りになったので良くなったようです。

 K19を交換したことにより、Sメーターのゼロ点及びS9ポイントがずれるので、各々半固定抵抗で調整します。

 マーカーが効かない時があるのは、SW付きVRの接触不良のようです。何度かカチャカチャするとONになったりしますが、完全には直らないので次の手を考えます。SW付きのVRは、SWの端子が4つある特殊構造のようなので、代替えはないと見込んで爪を少し浮かせて、接点復活剤を内部にスプレーします。なんとかこれで、良くなったので様子見とします。
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 Sメーターの調整用VRが、だいぶ偏った位置となりました。Sメーターアンプ用のTR(RX-NBユニットのQ5_2SA495(Y))の劣化が疑われますが、今のところ調整範囲内なので、これも今後の様子見とします。
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 TS-600のNB(ノイズブランカー)について
 我が家の周辺は、季節と時間帯によってはかなりのノイズが発生する。都市ノイズのように、24H出っ放しというわけではないが、写真のようにSメーターをかなり振ることも珍しくない。


 NBを入れてみると、すっとSメーターが下がり、ほとんどノイズを感じることがなくなります。ノイズの種類にもよるのでしょうが、かなり使えるNBです。


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 後日、樫木総業というところで、東芝製のK19(GR)を見つけたので、通販で購入しました。昔のシルクハット型ではなく、TO92型のような形で、従来型より少し小型になっています。型番の印刷は薄く、よーく見ないとK19だと判別しずらいです。


 同様に、マルチファンクションテスターで測定しました。

 IDSS=0.90mA
 Vgs=626mV
 という値が出ました。かなり良さそうなので、次回のメンテナンス時は、この東芝製K19を使おうと思います。(TS-600には複数使われているし、他の古いリグにも使っているだろう)
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 TRIO(現KENWOOD)の、TS-600が発売された1970年代はどうだったかというと、50MHzはAM全盛時代で入門バンドとして人気がありました。HFバンドはすでにSSB化されており、7.030MHzでたまにAMのQSOが聞こえる程度です。土日になると、全国のAM局がここに集まって、壮大なラウンドQSOも聞こえました。当時は、通信型受信機を持っていなかったので、普通の短波ラジオで聞いていました。

 50MHzのリグは、TR-1200/TR-1100(B)/FDAM3などの1Wのハンディトランシーバーが全盛で、10W機といえば真空管式のパナスカイマーク6(パナ6)や井上電機のIC-71、TRIOのTR-5200等がありました。IC-71は、AMで使う分にはいいのですが、FMがスロープ検波回路なので、受信音質が良くないという特徴がありました。また、TR-5200は耳が良くないというかSメーターが固いというか、送受のレポートの差が大きかったような気がします。その後、ナショナルからRJX-601が発売されるやいなや、50MHzを圧巻していきます。50~54MHzまでフルカバー、3Wという出力も他のポータブルトランシーバーとの差別化が図られ、あっというまに人気機種になっていきます。NECはCQ-P6300などを発売しますが、今一歩の人気でした。NECの無線機はVFOの安定度が悪いのですが、水晶制御CH搭載のためFMでは安定して使えました。

 一方、50MHzのSSBといえば、ケンクラフトのQS-500(キット)、TX310/JR310の310ライン(3.5MHz~50MHzの真空管式10Wトランシーバー)がありましたが、まだまだ普及には至っていません。そんな中発売されたのが、TS-600です。お値段もそれなりに高かったので、学生はなかなか手が出ませんでしたが、10WでAMを含むオールモードトランシーバーが発売されたということで、大きな変化につながりました。TS-600のAMは、低電力変調のA3H(振幅変調単側波帯)といえど、AMモードが使えるということは重要な時代でした。ナショナルもSSBハンディ機RJX-610を発売し、各メーカーがこぞってSSB機を発表していきます。それで、一気にSSB化が進んだように思います。

 144MHzはというと、水晶制御チャンネル式FM機の時代で、トランシーバーを買ってくると数CH程度しか水晶が入ってなく、1波1,200円程度もする水晶をお金がたまったら買うということをやってました。そのため、メインチャンネルでは、お互いの持っているCHを紹介し合い、混信が無いCHに移行しました。最悪、合うCHが無く「それではさようなら」という、今では考えられない事も起こっていました。みんなが持っているCHは、ポピュラーCHと呼ばれており、当然混信も多くありました。米国向け輸出用CB無線機はいち早くPLL化したのに比べると、アマチュア機のPLL化は少し遅れた感があります。144MHzのSSBの波は50MHzより若干遅れ、本格的なオールモード機はTS-600に若干遅れて、TS-700が発売されました。TS-600が出たころ、「次は144MHzのオールモード機が出るぞ」という噂はありましたが、当時の144MHzはまだFM全盛時代で、技術的にも難しいだろうと思われていたので、TS-700の登場は衝撃的でした。この頃のTRIOは、八重洲無線と並ぶ人気で、アマチュア無線業界を牽引している感がありました。

 NEC、ナショナル、日本無線など多くのメーカーがアマチュア無線機を発売したのですが、アマチュア人口の減少と共に、徐々に撤退していきました。

 こういった、50MHzオールモード機の黎明期に発売されたTS-600ですが、40年以上経過しても手を加えれば、基本性能は維持されます。トランジスターやFETは、互換品を含めるとまだ手に入ります。電解コンデンサーの劣化がほとんどないことは、驚異的でした。今のC国製のケミコンは安いけど、最初から既定の容量がない(-10%以内ですが)とか、耐久性がないとか言われているようです。

 せっかく復活させたTS-600なので、なるべく長生きさせたいですね。これにて、一旦終了です。
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 ほぼ1ヶ月たったころ、微妙にセンターメーターの中心がずれだしました。Sメーターアンプの2SA495(Y)か、調整用VRの劣化が疑われますが、とりあえず様子見です。
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4 コメント

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古い石 (かいちょうだべさ)
2021-04-17 22:26:34
2SK192とはまた随分レトロですね。
でも私は19なんて知りませんが。

どんなものでもCやRはいくらでも代替はあるけど(というかパッケージ以外あまり無くなる理由がないのだが)半導体はどうしようもないことが多いです。
特にマイコン系、ASICは致命的です。

ところでここで書いてよい事か微妙なのですが、HFの終段の石が入手出来ず大騒ぎになったことがありました。試作用ではなくてマスプロ用です。

940か950だったと思うのですが生産計画が入っているにも関わらずメーカーから「物がありません」と言われ、社内の工場、サービス拠点全てを当たったのですが、かろうじていくつかは確保出来てもサービスなんかは「修理に支障があるからダメ」と言われ生産中止の可能性が出てきたのです。

未来永劫同じ石が入手出来るみたいな錯覚で惰性で生産を続けていたのがいけなかったのですが、工場だけでなく販売店にも迷惑掛かりますので何が何でも石を入手せよ!になったのです。

そして秋葉原の半導体卸しの店に物があるとかで「現金ならば渡す」と言われて設計のマネージャー自ら買いに行ったのです。

この時、Kであることは伏せて個人名とし、事前に総務に頼んで現金100万円(即日は集まらなかったが)を受け取って紙袋を持って行きました。

幸い100万円を使い切る数量(数は判らないです)を確保出来たのですが、まだ足りない、ということで海外拠点にも応援頼みました。

海外には面白い会社があるんですよ。
トランジスタのケースに入っていない中身のチップだけをメーカから買って持っている会社があるんです。特殊なHICなど作るためらしいのです。

その会社にそれなりの(高額)金を払えばオリジナルと等価のパッケージに入れて納品してやる、という事が出来るそうです。

日数はかかりますがそこにも頼んで入手したりしていました。

でも一部の海外の会社には騙されて数十万円持ち逃げされたこともあったようです。

高周波高出力のデバイスなんて生産中止になったら回路自体の設計をやり直すくらいの労力が要求されますのでたまったもんではありません。

この時私は幸い「対岸の火事」という事で「大変だな」とあくびしながら見ていましたけど。
古い石の入手は難しい (ブログ主)
2021-04-17 23:47:58
 面白い話、有難うございます。古い機器で保守用の石がないとうことは良くあることですが、製造中というのは初めて聞きました。現場は大混乱でしょうね。

 海外会社に騙されたというのは、悔しいですね。足元をみられたのではないでしょうか。いろいろと、流通ルートがあるものだと感心しました。

 ファイナルに使われているモトローラの石を探したのですが、どこにもなく諦めたことがあります。石さえあればと思うのですが、しかたないですね。

 今ある古いリグは、お願いだからファイナルは飛ばないでくれと思います。
Unknown (かいちょうだべさ)
2021-04-18 08:33:02
ファイナルは一番飛んで欲しくないのに、一番飛びやすく、一番高く、一番入手しにくいので不安の頑強ですね。

高周波高出力デバイスは940とかの時代から今に至るまで短命のものが多いそうです。理由は需要はあるけど儲からないからです。パワーモジュール化の要求が強いのもあります。
むしろ携帯基地局用とかの物の方が増えています。

「面白い話し」のついでに急に思い出した事がありますのでボケないうちに(笑)お伝えしておきますね。

無線機ではなく家庭用コードレス電話の事ですが、それの修理に関してです。
どんな機械でも修理出しても直らない(再修理)、症状が再現しないとかでイライラする事ありますね。

知り合いの電話機のサービスマンが症状出ずで再再修理とかを扱ったんです。
客は電話口の感じでは20代の姉ちゃんだけど物凄い剣幕で恐かったとか。

上司と相談して「新品交換しよう。菓子折り持って行け。」との業務指示。
更に必ず二人で行け、と。

サービスや営業がお詫びに行く時は【相手によっては。】必ず二人で行くとか。
理由は【命の危険があるから】だそうです。
過去事件があったわけでは無いらしいですが、相手の剣幕次第によっては蹴飛ばされたり怪我しない程度に殴られる事はあるそうです。(この程度では大切なお客様なので警察は呼ばない。)

そしてその姉ちゃんは過去からもクレーマではないのだけど怒らせたら止まらなくなる、しかも中小規模の組のヤクザの女だったのです。

行く途中、「最低限土下座と頭踏んづけられるのは覚悟しよう。命は死守!」と話しながら行くと雑居ビルの小さなオフィス。
中にはいると社長室みたいなところに通されて親分らしい人が。

でも恐い感じではなくて中小企業の社長の感じで立ち会いの若い衆は同席せず、姉ちゃんは外出中だったとか。

親分は丁寧な口調で「失礼な事を言ったようで申し訳ありませんでした。」と言ってその後はお茶を出してもらいにこやかに話したそうです。

事無きことて済みましたが、行く途中はチビリそうなほど恐かったとか。
その姉ちゃんがその後無事なのかは分かりません。

他にも暴対法施行前の京都営業所のカーオーディオの顧客リストの2/3がヤクザだったとか驚きの話しもありましたね。


他にも面白い話したくさんあるので順次お伝えしますね。
再現せずは困りますね (ブログ主)
2021-04-18 11:11:16
 確かにファイナルは、手に入ったとしても高価なので、飛ばすと痛いです。いくら高くても、無いと直らないので、新品購入するかどうか、悩ましい問題になります。パワーモジュールも手に入らないものも多く、本当に困るのですが、メーカーとしては儲からないからやめるということなんですね。

 現象出ずは使用環境などもあるので、難しいですよね。相手が特殊稼業ならなおさらです。製品自体ではなく、電源周りとか高周波の回り込みも経験したことがあります。

 現役時代には、製造機器がたまに停止するという現象があるとのことで行ったことがあります。不思議に昼の時間帯だけは発生しないというものでした。調べた結果、工場に出入りするトラックにCBアンテナが付いており、かなりのハイパワーで運用するので、高周波で工作機器が誤動作したものでした。(おそらくKW越え)工作機器側に高周波対策を勧めると同時に、出入り業者に言ったらどうですかということで対応完了しました。昼に発生しないのは、トラックも昼休みということで、飯食ったりして休んでいたようです。(ウチの責任ではないということで、納得してもらいました)

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