ローマでガイドをしていて、
お客様からよく受ける質問トップテンに入るのは、
「どうしてローマのバールやレストランのトイレには便座がないんですか? 誰かが盗んでいくのですか?」
です。
また、特に女性の方々から、
「すごく座りにくかったです。」
「イタリアの人はどうやって座ってるんですか?」
と聞かれると、逆に
「え?本当にあの便器の上に座ったんですか?」
と聞き返さずにいられません。
便座がない。多分誰も盗んでないと思います。いくら何でも、尿の飛び散った便座を持って帰らないでしょう。想像しますに。
多分、元々は取り付けていたのだろうけど、出入りするお客さんが無茶苦茶に使用し、時には、便座の上に靴ごと乗っかって、しゃがんで用を足す人などもいるようで、金具が外れ、プラスチックがバキッと割れてしまう。
あの頃は混んでましたもの~(Covidまではね)
そうなると、店のオーナーとしては、「便座つけてもつけんでも、同じやないか!」ってことになり、そのまま放置してるのだろう、というのがシャーロックあいこの推測です。
1回 1~2ユーロくらいで使用できる最新式の公衆トイレ(ナボーナ広場の北側とか、サンタ・マリア・マッジョーレ教会裏カブール通り側などにある)はいざ知らず、
ローマ中心部のバールのトイレなどは、洗浄しても洗浄しても、あらゆる観光客等でごった返し汚れている中、やはり、そのまま直接座るというのは如何なものかと、、、、
イタリア人は、私の認識の限りでは、そのような外のトイレはなるべく使わずに済むように、耐えて、耐えて、耐えまくる。
でもあまり耐えたら病気になりますから、どうしてもっていう時の為に対策としては、
中腰、消毒ナプキンで拭き取ってからトイレットペーパーを敷く、もしくは膀胱を緩めない訓練を日頃からする、、、
いろいろ選択肢はあるでしょうが、最終的には
あなた次第です
トイレといえば、イタリアで欠かせないのはビデ
ヨーロッパ諸国での、ビデ使用率 (WIKIPEDIAより)
1 イタリア 97%
2 ポルトガル 92%
3 フランス 42%
4 ドイツ 6%
5 イギリス 3% だそうです。
うん、確かにイタリア国内でもドイツ語圏のチロル地方のホテル、少なくとも今まで泊まったところはビデ無かったな、、
これだけ現在のイタリアのビデ普及率は高いんだけど、実はBidet という名の通り、ビデはもともとフランス発祥です。
説によると、
1700年代始め当時のフランスの首相が奥方のためにビデを初めて作らせたそうです。
ある日、その奥方の愛人である外務大臣が彼女の寝室に入って行くと、ヴァイオリンみたいな形の木の椅子に馬のように愛人が跨っていた、しかも想像するに、下半身丸出しで。
外務大臣は驚きを隠しきれず人々に語って回ったそうです。
週刊文春が見逃さないような事件ですが、
当時は、勿論水洗じゃないから、上流社会の人々は、浴室に容器内蔵の蓋つき大箱みたいな物を置いて、トイレとして使用しており、寝室には、美しい陶器の浅い壺を簡易携帯トイレとしてベッドの下に忍ばせていたようです。
その横に登場したのが、見た目は背もたれ付き木の椅子のようであるが、座る部分が深く掘られ、金属製または陶器の容器がはめ込んであり、水を貯められるようになっているビデというもの。
その後、イタリアではカゼルタの王宮(ブルボン王朝)に初めて設置されたとか。
それが徐々にフランス周辺諸国の一般人にも普及していった結果、
1980年ごろを境に、フランスではスペースの無駄だということで、流行らなくなり、新しい家にはビデをつけないところの方が多くなったようです。
ローマでは今でも完全にビデは健在。
ローマ在住日本人で、数人ですが、改装工事を機に、ビデを取り外した人とか、便器の一部にすでに蛇口のついているトイレ&ビデ合体型の物を使用している人とかはいますけどね。
通常、人の家に行くと大抵便器の横にビデはあります。
跨り方は人それぞれ。壁を向く人、壁を背中に向ける人、、、
局部を洗ったり、足を洗ったり、いろいろ。
私はというと、ここだけは完全にイタリアナイズされてまして、ビデがないとどうも気色が悪い。
前の記事 『どうしても譲れないこと』で書いたのとは対照的に、
日本に帰った時、あの電動ウォシュレットでは洗った気になりません。
母は、「なんでえ?手で洗う方が気持ち悪いやん」とか言いますが、
よくよく考えて見てください。
みなさん、外出先から帰ったら手を石鹸で洗うでしょ? 石鹸なしで水洗いだけって耐えられます?それと同じです。局部も、特に大便の後は、水洗いで済ませるというのがもう耐えられない体になってしまっているのです。
それに、ちゃんと、Ph酸性の局部用(Intimo用)洗浄ジェルが売られています。
なんだか昔から間違った解釈もされてきて、ビデって元々は娼婦が使うために作られてものだ、などということも言われてきたようですが、それは忘れた方がいいです。
これからも、イタリアでは電動ウォシュレットはあまり普及せず、狭くても必ずビデを設置する文化は続いて行くような気がします。
お食事中の方は失礼いたしました。
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